No. 31 ラブリー / 小沢健二

ラブリー / 小沢健二 (1994年)
https://www.youtube.com/watch?v=HDKCaTaJkB4

僕くらいの世代の音楽好きにとって、「小沢健二」というのは非常に難しい存在です。

小沢健二」には2つの側面があります。

1. 「オリーブ少女」的な、90年代を代表するポップ・スターとしての「小沢健二
2. "Eclectic"などが象徴する、ブラック・ミュージックに正面から挑む、生粋の音楽職人としての「小沢健二

彼が終了直前の「笑っていいとも!」に出演するまで一切メディア露出が無かったこともあり、
僕にとっての「小沢健二」は後者のイメージでした。
FNS歌謡祭の過去の映像で、小沢健二小泉今日子が「ラブリー」をデュエットしている様子を見た時は、
「え、こんなことしてたの!?」と驚いたものです。

一方で、倖田來未が「ラブリー」を現代仕様にアレンジしてカバーした際には大炎上となり、
カバーされるほどの普遍性と、往年のファンの愛情を目の当たりにして、やはり驚きました。

そんな状況の裏で、数年ほど前から小沢健二はひっそりと復活していました。
ライブを行い、その内容と新曲の素晴らしさがSNS上で飛び交っていました。

このような、「過去形」と「現在進行系」のハイブリッドの中で、
ほとんど「過去形」を知らない僕はとても困惑します。

小沢健二コーネリアスがそれぞれ発表した久しぶりの新譜はとても素晴らしいものでした。
しかし、それら以上に話題を集めるのは、彼らが揃って出演する明日のフジロックだったりします。

どれほど新譜に喜んでも、過去の彼らを味わっていない自分はどこか遠くにいる気がする。
そんな事をふと思いながら、カラオケで「LIFE IS COMIN' BACK!」と歌うのです。

同期とのカラオケでは毎回「今夜はブギー・バック」が歌われます。
誰もリアルタイムで経験していないのに、この曲がアンセムになっている。
それもまた彼の凄さを表しているのかもしれません。