No. 23 でも・デモ・DEMO / 暗黒大陸じゃがたら

"あんた気に食わない!"

https://www.youtube.com/watch?v=PS46C2c5iPQ

70年代から80年代にかけて、アンダーグラウンドを中心に盛り上がりを見せた日本のパンク・ロックシーン。
以前ご紹介したTHE STALINを筆頭に、INUあぶらだこアナーキーといったバンドが
過激な言葉と音とパフォーマンスを武器にライブハウスを席巻していました。

彼らの多くはSex PistolsThe ClashといったUKパンクに多大な影響を受け、
誤解を恐れずに言えば、そのサウンドを模倣した上で(特に言葉において)日本人としての
オリジナリティを追求していたとも言えます。

そういった文脈とは一線を画するのが、今回ご紹介する暗黒大陸じゃがたらです。
まずはその独特すぎるバンド名に目が行きますが、独特なのは名前だけではありません。

パフォーマンス目当て、物珍しさで集まってくる観客にウンザリした、中心人物の江戸アケミ。
「音楽性で評価されたい」と思い立った彼が選んだのは、パンク・ロックとアフロ・ファンクの融合でした。

弦楽器の切れ味やボーカルのテンションはパンク・ロックそのもの。
しかし、そこに絡み合うリズムやホーンの音色はファンク・マナーを徹底しています。
そのサウンドの鮮烈さに、それまでの色物的評価は一気に覆りました。

1982年に発表された1st「南蛮渡来」の1曲目を飾る「でも・デモ・DEMO」は、その極地とも言える仕上がりです。

江戸アケミの「あんた気に食わない!」という一言と共に、一気に凶暴なファンクの渦へと雪崩込むイントロ。
混沌としたグルーヴの中で繰り返す「くらいね、くらいね」というコーラス。
そしてグルーヴが完成した後に畳み掛ける排他的な言葉の数々。

リリースから35年が経った今でも、そのサウンドは鮮烈に響きます。