No. 21 ビューティフル / 毛皮のマリーズ

"「誰かが私を待っている..」と、言いながら誰かを待ってました"

https://www.youtube.com/watch?v=iXCytb9TvrI

2000年代後半に巻き起こった、「ロックンロール・リバイバル」というムーブメント。

黒猫チェルシーTHE BAWDIESなど、自分たちが生まれる前のロックに憧れを抱いた若者たちが、
自分たちなりにその音楽を鳴らすことに挑み、それまでの音楽に満足できなかったリスナーを魅了した時代。

この時代に生まれ、ロックの聖地である日本武道館公演まで昇り詰め、
「THE END」というアルバムを突如発表し、時代と共に解散したロックバンドが毛皮のマリーズです。

フロントマンは、あらゆるロックのカリスマ達に強い憧れを抱き、自分もそうなりたいと考えた志磨遼平。
真面目な彼はあらゆる音楽を学び、自分なりのロックンロールを見出し、徐々に人気を高め、かつて自分が思い浮かべていた自分自身に近づいていきました。

しかし、人気を得た彼が直面する、「カリスマになりたい」と思った時点でカリスマにはなれないという矛盾。
どれほど頑張っても、努力家止まりで天才にはなれないという現実。

その葛藤が生み出した名曲が「ビューティフル」です。
何かを待ち続ける自分の姿を認め、半ば開き直り的に「ビューティフルに生きて死ぬための僕らの人生」と言い放つ。
努力家だった志磨遼平にしか生み出せない、普通の人のための名曲です。

毛皮のマリーズ解散後、志磨遼平は新たにドレスコーズというバンドを結成し、精力的に活動を続けています。
そんな彼は今でも「ビューティフル」を演奏し続けています。

No. 20 Born Slippy Nuxx / Underworld

https://www.youtube.com/watch?v=W9ZNKGrpnKM

1996年に公開された「Trainspotting」という映画をご存知でしょうか。

ドラッグと音楽と性に溺れた日常を生きるスコットランドの若者たち。絶望的な生活の中で、遂に手に入れた転機。
当時の若者たちの姿を徹底的にクールに描ききったこの作品は、今なお熱狂的な信者を生み続けています。

僕もその信者の一人です。例えば、恐らく誰も見ないであろうFaceBookの好きな言葉欄に、この映画から引用したフレーズを書き込んでいます。

監督のダニー・ボイルもこの作品に特別な思い入れがあるらしく、今年は20年ぶりに新作が公開されたことでも話題になりました。
僕も公開初日に続編を観に行ったのですが、懐古主義を徹底的に断罪するその内容に驚かされました。ダニー・ボイルはこの作品を取り巻く熱狂に対して、「そんなに過去に執着していると、お前もこんな風になるぞ」というメッセージを込めたのかもしれません。

この映画の最も印象的なシーンで使われている楽曲が、テクノシーンのレジェンド的存在、Underworldの"Born Slippy Nuxx"。
テクノ史上に残る美しいメロディと、未来なんかこれっぽっちも気にしていない若者が酒場で喋っているような歌詞が重なるこの曲が流れるラストシーンは必見です。

No. 19 Worlds end / Mr. Children

ミスチルというと、老若男女から好かれている国民的存在というイメージがありますが、
U2やThe Smashing Pumpkinsといった80年代から90年代のオルタナティブ・ロックを深く咀嚼し、
日本人としてのロックを作り上げてきた、まごうことなきロック・バンドです。

そんな彼らの曲の中でも、特に個人的に大好きな曲が、"I♥U"収録の"Worlds end"です。
1音目から一気に広がっていく音像と、そのサウンドスケープに呼応して歌い上げられる感情の高ぶり。これぞ、ミスチルの真骨頂ではないでしょうか。2013年のSUMMER SONICではミスチルが準ヘッドライナーを務めましたが、1曲目からこの"Worlds end"を演奏していて、物凄く興奮したのを覚えています。そして実はその客席に花岡さんもいたりします。

ゼロ年代以降のポップ・ミュージックを追求する姿勢も好きではありましたが、特に"REFLECTIONS"以降の純粋なロック・バンド回帰路線には現在進行系でワクワクしています。

No. 18 Turn Up / KEN THE 390 feat. T-PABLOW, SKY-HI

今週の「フリースタイルダンジョン」は衝撃的でした。
もちろんチャレンジャーとして登場した晋平太の圧倒的なスキルと生き様も素晴らしかったのですが、それ以上にモンスター役のT-PABLOWがまぁ怖いこと。

普段は温厚で仲間思い、でもラップとなると超上手いといった格好良い青年なのですが、今回に関しては完全にシンプルにブチ切れたヤンキーでした。

チャレンジャーである晋平太の胸ぐらを掴みながら、
「あと てめぇから触ってきたんだからな?おいこの野郎 てめぇ後でさらっちまうぞ このクソガキ この野郎がよ」
と言い放つ姿には流石に僕も震え上がりましたし、R-指定も思わず「怖っ」と声を漏らしていました。ラップの多様性を垣間見た瞬間でした。

そんなT-PABLOWですが、ラップのスキルはやはり一級品ですし、「もはやヒップホップでしか食っていけない」という生き様に惚れ惚れしてしまうのも事実です。

そんな彼の生き様とスキルが見事に現れた"Turn Up"。あのブチ切れた姿を見てから聴いてもやはり抜群に格好良いですし、ラストのSKY-HIが放つ超高速ラップは必聴です。

No. 17 ROSIER / LUNA SEA

https://www.youtube.com/watch?v=5QU9UVC0XpU

 

X JAPANSIAM SHADEラクリマ・クリスティ、マリス・ミゼル、黒夢...
ともすると「懐かしの音楽」だなんてレッテルを貼られることもある90年代のビジュアル系バンドたち。

しかし、今もなお彼らをリスペクトしてやまない若いファンが増え続けていることは、あまり知られていません。
ゼロ年代後半、彼らの音楽を聴いて育った当時のキッズ達がバンドを始め、彼らを通して若い人々がビジュアル系の魅力に気付き始めたのです。

9mm Parabellum Bullet凛として時雨といった、当時台頭し始めていた若手ロキノン系。
the telephonesMASS OF THE FERMENTING DREGSといったオルタナティブ・ロック勢。
何よりも、the Gazetteやシド、Alice Nineにナイトメアといった彼らの子孫にあたるネオ・ビジュアル系。

彼らがビジュアル系の影響を公言していく流れの中で、X JAPANLUNA SEA、更には彼らの先輩にあたるDEAD ENDまでもが再結成を果たしていきます。当時を懐かしむ人々だけではなく、彼らをリスペクトする若手も一同に会し、彼らの復活を喜びました。

その中でもRYUICHIの驚異的な歌唱力と誰もが親しめるポップ・センスを併せ持つLUNA SEAには、心の底から夢中になったものです。全てのアルバムを揃え、19歳のクリスマス・イヴには彼らのライブを一人で見て過ごしました。

学生時代はずっと彼らのコピーバンドを組んでいました。地元にいた頃は、彼らへのリスペクトを込めて、友人のバンギャに協力を仰ぎ、全力でビジュアル系に挑戦していました。

No. 16 Master of Puppets / Metallica

https://www.youtube.com/watch?v=UzXqLIY5ZTs

もうすぐ7月、夏フェスの時期!ということで今回はMetallicaです。
メタリカといえば、言わずと知れた「メタル四天王=メタリカアンスラックスメガデス、スレイヤー」の一組にしてメタル界の絶対王者にして、史上唯一"南極大陸も加えた"全ての大陸でライブを実施したバンドとしても有名ですね。
1986
年に発表された"Master of Puppets"は、今なおメタル界のみならず、音楽界における聖典として崇められています。

さて、メタルの魅力といえば圧倒的な演奏力と楽曲の構築力が織りなす"様式美"ですが、個人的にメタリカの魅力はその先にある"グルーヴ感"ではないかと考えています。

というのも、ライブを見ると痛感するのですが、メタリカのライブって実は(特にドラムが)全然テンポが安定しないんですね。上記のYouTubeのライブ映像を見ていただくと分かる通り、常に加速していきます。ただ、その加速にバンドが追従していく時に生まれるグルーヴが物凄く格好良いんです。

僕が彼らのライブを見たのは2013年のSUMMER SONICが初めてだったのですが、実はその当時は全くメタルに興味がありませんでした。しかし、生で彼らのグルーヴを体感してからというもの、今ではすっかり彼らに魅了されています。

メタルに興味が無いという方は多いかもしれませんが、そんな方にこそ、彼らのグルーヴに触れてみていただきたいです。

No. 15 Strawberry Fields Forever / The Beatles

https://www.youtube.com/watch?v=8UQK-UcRezE
今でこそ雑多に音楽を聴くようになりましたが、そのきっかけは幼少期に父の影響でよく聴いていたThe Beatlesかもしれません。その中でも子どもながらに好きだったのがこの曲でした。どんな気分の時に聴いても胸に響く名曲ですが、特に落ち込んでいる時に聴くと、どこか自分を冷静に見つめられるような気がします。

"It's getting hard to be someone. But it all works out. / 何かになるってのは大変なことなんだ。でもなんとかなるさ"
という一節がそうさせるのかもしれません。

父が若い頃に買い集めた彼らのCDは、今では僕の家のCDラックに入っています。そして、このCDを自分の子供に聴かせるのが、僕の密かな夢だったりします。